15冊目 眠れぬ真珠 石田衣良
2017年12月23日 読書女にはダイヤモンドの女と真珠の女がいる。
15冊目 眠れぬ真珠 石田衣良
主人公は45歳独身、両親も亡くなって兄弟もいない、犬と暮らす版画家。
ある日出会った17歳も年下の男に恋をする。
映画監督になるはずだった彼が元の映像の世界に戻れるように、この恋は必ず自分の手で終わらせなければならない。
一瞬を永遠に変える恋の奇蹟。
という感じ。
恋っていいですねー!
恋!!!!わー!!! 笑
更年期障害に悩まされる、中年の孤独なアーティストの心情が、何故男の石田衣良にこんなにも生々しく描けるんだろう。
私は、100%の女も、男もいないと思っている。
性別はグラデーションだ。
白か黒かではっきり分けられているものではない。
それにしても、だ。
石田衣良はすごい。
石田衣良の中にはきっと、孤独な中年女性も棲んでいるんだろう。
そうとしか思えないような研ぎ澄まされた感覚だと思う。
若い男性に恋をしてしまった。
その時、自分のこれまで刻んできた時間が、全てひどく恥ずかしく、みすぼらしく、消えてしまいたいような気持になる。
わざと「私みたいなおばさん」とか「こんなしわだらけの手」とか言ってしまう。
自分の後ろ姿に老いが見えないよう精一杯胸を張っても、若い女の子の前では消えてしまいたくなる。
髪の艶や肌のハリに、どうしようもなく敗北感を感じる。
恋をしているということで勝手に傷つきまくるこの主人公が、可哀想でいじらしくて、私自身本当に身を切られるようだった。
更年期障害のホットフラッシュが、いつもリアルな幻覚と貧血とセットで起こる。
大量の汗とともにひどい幻覚の恐怖と貧血で毎回気を失ってしまう。
~~~
「そのだらしない身体はなんだメス犬。おれを見る目はずっと発情していたぞ。恥ずかしくないのか。そんなに全身濡らすほど、おれがほしいか、ババア」
「今のままの咲世子さんは素敵ですよ。なにも反省することなんかないんです。ノアなんかよりずっといい」
「だから、尻尾を振ってついておいで、メス犬」
~~~
こんな幻覚をみてしまう45歳独身女性、可哀想でならないでしょう。
自分のことをこんなにも卑下するようになってしまうのが、年下との恋なんだ。
辛いねぇ。
刹那的な蜜月の様子も、薄い氷のように澄んで、皮膚が切れるほどの切なさだ。
初めて抱かれる日の夜、自宅で乾杯している時の描写
~~~
素樹はたくましいのどを見せて、グラスを一気に空けてしまう。咲世子はほとんど泣きそうになって、グラスに口をつけた。酸味のある丸い甘さが、はじけながらのどをおりていった。生きていること。ただそこにいて、息をしていること。それだけで欠けることのない時間が、これまでの人生で何度自分にあったのだろうか。
咲世子は住み慣れたリヴィングルームをゆっくりと眺めた。照明は部屋の隅に立つ旧い木製のスタンドだけだ。となりには素樹が、足元にはパウルがいる。このシーンを決して忘れることのないように心に刻んでおこう。
~~~
これから抱かれるという時に、このシーンを胸に刻み付ける切なさ。
好きな人が生きて、息をしていることだけで、世界が完全になる。
この瞬間欠けることのない幸福がある。
恋って、いいですねぇ~~ 笑
あまりに愛しい気持ちがわかりすぎてここはちょっと付箋を貼ってしまいました。
あともう一か所、これは二回目の事後なんですが
~~~
すべてが終わったあとで、咲世子はすこしだけ泣いたが、それは悲しいからではなかった。
思い出の夜をもう一日だけ、自分に増やしてくれた。このごろ、自分にはいじわるなだけだった運命に感謝したくなったのである。
~~~
もうね、いつも、どれだけラブラブな状況でも、常に、別れの予感と戦っている。
それがこの恋を美しくしているんだけども、いつも本当に切ない。
ワカル~ワカル~恋ッテイイヨネ~ってなってしまう 笑
私は年上かタメしか付き合ったことないけど年下ほんと辛いだろうなー。
うむ……
恋の素晴らしさ、喜びと苦しみがふんだんに詰まった良き作品でした。
しんど!!!!って思ったけど、これはいい。いいと思いますわ。
恋は辛いものだけど、やっぱり恋のない人生は味気ないよね。
息をしているだけで欠けることのない時間を感じられるんだよ。
それだけでも生まれてきてよかったと思えるよ。うんうん。
15冊目 眠れぬ真珠 石田衣良
主人公は45歳独身、両親も亡くなって兄弟もいない、犬と暮らす版画家。
ある日出会った17歳も年下の男に恋をする。
映画監督になるはずだった彼が元の映像の世界に戻れるように、この恋は必ず自分の手で終わらせなければならない。
一瞬を永遠に変える恋の奇蹟。
という感じ。
恋っていいですねー!
恋!!!!わー!!! 笑
更年期障害に悩まされる、中年の孤独なアーティストの心情が、何故男の石田衣良にこんなにも生々しく描けるんだろう。
私は、100%の女も、男もいないと思っている。
性別はグラデーションだ。
白か黒かではっきり分けられているものではない。
それにしても、だ。
石田衣良はすごい。
石田衣良の中にはきっと、孤独な中年女性も棲んでいるんだろう。
そうとしか思えないような研ぎ澄まされた感覚だと思う。
若い男性に恋をしてしまった。
その時、自分のこれまで刻んできた時間が、全てひどく恥ずかしく、みすぼらしく、消えてしまいたいような気持になる。
わざと「私みたいなおばさん」とか「こんなしわだらけの手」とか言ってしまう。
自分の後ろ姿に老いが見えないよう精一杯胸を張っても、若い女の子の前では消えてしまいたくなる。
髪の艶や肌のハリに、どうしようもなく敗北感を感じる。
恋をしているということで勝手に傷つきまくるこの主人公が、可哀想でいじらしくて、私自身本当に身を切られるようだった。
更年期障害のホットフラッシュが、いつもリアルな幻覚と貧血とセットで起こる。
大量の汗とともにひどい幻覚の恐怖と貧血で毎回気を失ってしまう。
~~~
「そのだらしない身体はなんだメス犬。おれを見る目はずっと発情していたぞ。恥ずかしくないのか。そんなに全身濡らすほど、おれがほしいか、ババア」
「今のままの咲世子さんは素敵ですよ。なにも反省することなんかないんです。ノアなんかよりずっといい」
「だから、尻尾を振ってついておいで、メス犬」
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こんな幻覚をみてしまう45歳独身女性、可哀想でならないでしょう。
自分のことをこんなにも卑下するようになってしまうのが、年下との恋なんだ。
辛いねぇ。
刹那的な蜜月の様子も、薄い氷のように澄んで、皮膚が切れるほどの切なさだ。
初めて抱かれる日の夜、自宅で乾杯している時の描写
~~~
素樹はたくましいのどを見せて、グラスを一気に空けてしまう。咲世子はほとんど泣きそうになって、グラスに口をつけた。酸味のある丸い甘さが、はじけながらのどをおりていった。生きていること。ただそこにいて、息をしていること。それだけで欠けることのない時間が、これまでの人生で何度自分にあったのだろうか。
咲世子は住み慣れたリヴィングルームをゆっくりと眺めた。照明は部屋の隅に立つ旧い木製のスタンドだけだ。となりには素樹が、足元にはパウルがいる。このシーンを決して忘れることのないように心に刻んでおこう。
~~~
これから抱かれるという時に、このシーンを胸に刻み付ける切なさ。
好きな人が生きて、息をしていることだけで、世界が完全になる。
この瞬間欠けることのない幸福がある。
恋って、いいですねぇ~~ 笑
あまりに愛しい気持ちがわかりすぎてここはちょっと付箋を貼ってしまいました。
あともう一か所、これは二回目の事後なんですが
~~~
すべてが終わったあとで、咲世子はすこしだけ泣いたが、それは悲しいからではなかった。
思い出の夜をもう一日だけ、自分に増やしてくれた。このごろ、自分にはいじわるなだけだった運命に感謝したくなったのである。
~~~
もうね、いつも、どれだけラブラブな状況でも、常に、別れの予感と戦っている。
それがこの恋を美しくしているんだけども、いつも本当に切ない。
ワカル~ワカル~恋ッテイイヨネ~ってなってしまう 笑
私は年上かタメしか付き合ったことないけど年下ほんと辛いだろうなー。
うむ……
恋の素晴らしさ、喜びと苦しみがふんだんに詰まった良き作品でした。
しんど!!!!って思ったけど、これはいい。いいと思いますわ。
恋は辛いものだけど、やっぱり恋のない人生は味気ないよね。
息をしているだけで欠けることのない時間を感じられるんだよ。
それだけでも生まれてきてよかったと思えるよ。うんうん。
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