人は島である。
島であるということは、海の底では繋がっているひとつの大陸でもある。

2冊目 水に似た感情 中島らも

中島らもって好きな作家なんですよね。
感性が敏感で繊細で、純度の高い文章だと思う。
素直で欲がなくサービス精神旺盛で謙虚で、博識なのに嫌みがない。
小学生の頃からとても好きですね。

水に似た感情 は、小説というよりはほぼドキュメンタリーでそのままバリ島に行ったときの記録。
中島らも御一行(名前は変えてる)がロケに行く話です。
何か特別面白いかというと、そんなこともないんだけど、なにかすごくいいことが書いてあるかというとそうでもないんだけど。
なんだろうなぁ。すごくいいんだよね。
これ言語化するための記録なのになんにもうまく文章にできない。
途中どんどん躁になって、入院して、元に戻るんだけど、私もなったことあるから全部わかるんだよね。
説明しようとか、表現しようとかではなく、ただ躁の人が躁で書いてる文章なんだよね。
躁鬱でアル中でヘビースモーカーで、覚せい剤や麻薬も海外ではやるんだけど、この人がそれをやるのは頭が良すぎて世の中のことを感じ取りすぎちゃうからなんだよね。
鈍感になるようなフィルターをかけているくらいじゃないと、世の中にある物事のひとつひとつが刺激が強すぎるの。
あらゆる麻酔をかけて感じないようにしているけれどそれでも敏感だから、あらゆる方法のアウトプットでバランスをとっている。
そしてその生きるためのアウトプットで人を感動させて金が稼げるだけの才能がある。
天才とは、生きるのが難しいものなんだなぁ。

あとがきで
イワシの群れが「先端から最後尾まで同時に向きを変えている」ことから

“我々には未だ知ることのない情報伝達手段がイワシにはあるのではないか。
人間にはなぜそうしたものがないのか。
人間はなぜ言葉を使ってしかわかりあえないのか。
人間はなぜ裸になって抱き合わないとわかりあえないのか。
人間はなぜ「個」に分断されているのか。
これが本書『水に似た感情』のテーマである。”

とある。
あのさぁ!!!
私と、死んだ中島らもが、この瞬間同じように、
「なぜ人は言葉を使ってしかわかりあえないのか。なぜ個に分断されているのか」を考えていたことが、そもそも、もしかして、
人間にもイワシのような能力があるということの証拠なんじゃないですか?!
と私は思いました。

最近ほんと自分のテーマと読んでる本との一致に驚くなぁ。
呼ばれている。
気持ち悪いくらいだ。

中島らも作品を読んでいて自分が本当に心から中島らもを愛していることが分かったので、100冊以上ある著書、全部購入して本棚に置きたいという目標ができました。

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