小説家と読者は、お互いに読む力、書く力を競い合うライバルなのかもしれない。
(そんなようなことをどこかで読んだ気もする。)

13冊目 海辺のカフカ 村上春樹

長かった。
長い本を読むのは別に苦痛じゃないし、そもそも気分が乗らない本は読まないから、気分は合っていたんだけど、とにかく長かった。
出てくる音楽とか本の引用元とかも、軽くでも調べないと気が済まないからいちいち手が止まるし、描写も飲み込むのに時間がかかるし、ずっと読んでたのになかなか先に進まなかった。
ただ文章そのものは嫌いではない。

まとめるのがめんどくさいので気が向いたらまた書くけど、2つか3つかの視点で並行して話が進んでいって、徐々にそれらの話の接点が明らかになっていくような、まぁ村上春樹お得意の手法。
これ自体は読み慣れれば、そんなに混乱は招かない。
むしろ読み手に気を使って伏線を整理することがよくあるのでちょっと煩わしいくらい。
殆どの部分は結構楽しく読んだんだけど、最後の方、48章がちょっとなー残念だったなー。
ナカタさんは結構好き。大島さんも好き。
ただ大島さんの設定に対する村上春樹の恣意にはすこーーーしばかり抵抗を感じる。
大島さんには一切非がないけれど、じゃあどうしてそこに大島さんが必要だったのか、と考えるとちょっと嫌な気持ちにはなる。

村上春樹が好きなのか嫌いなのか、について読みながらずっと考えていたんだけど、どうも答えが出ない。
文才はある、話は面白い、興味のある内容もいっぱいある、文章を読んでいる時間の充実感はなかなか代わりのいない稀有な作家だなぁと思う。
ただ妄信的に好きで好きでたまらないって人の気持ちは分からないなぁ。
エンターテイメントとしてたまーに読むにはいいけどなかなか親密にお付き合いできる作家ではないなという印象。

1Q84はまだ読んでない。
色彩を持たない~は読んだ。まぁこっちは読みやすかったしわりと好き。
東京奇譚集とか神の子どもたちはみな踊るとか、短編は面白くて好き。
いや面白いという意味ではいつでも面白いんだよな。
めんどくさいだけで 笑

村上春樹は平易な文章で難解な物語を作り上げる作家ということになっているけれど、物語が難解かどうかは分からなかった。
書いてあることを書いてある通り読めば何も難しいことはないと感じたけど、もしかしたら本当はもっと深い話だったのかも知れない。

文章を読む力、ないなーーーーと感じて少し落ち込んだ。
まぁいいや次は何を読もうかな

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