6冊目 億男 川村元気
2018年4月2日 読書人生に必要なものは、勇気と想像力。
それと、ほんの少しのお金です。 チャップリン
6冊目 億男 川村元気
弟の借金を肩代わりしたことで妻と娘に別居され、死に物狂いで働いてたら3億円の宝くじが当たって、混乱したので大金持ちになった旧友に会いに行って相談したらその旧友が3億持って失踪した!
旧友を探す過程でお金とは何か、幸せとは何かを考えていく、という話。
これ自己啓発系の本だと思われそう。
というか私もそう思っていた。
まず思い浮かんだのはあの大ヒット童話「チーズはどこへ消えた?」でしょ。
でも違いましたね。
話の感じでいえば「色彩を持たない田崎つくると彼の巡礼の年」の方が近い。
構成が近いのもそうだし、名言の引用が多いのもそう。
川村元気は村上チルドレンなのかな。
他の作品を読んでいないけど、文章はとても読みやすい。
基本に忠実で、洒落をきかそうとして読者を混乱させることもなく、素直でいい。
工夫がなく稚拙とも言えるが、変に難しい表現をしてみたり使われない漢字を使って虚勢を張る小説気取りよりはずっといい。
脚本家が小説を書くとこうなる、という見本みたいな書き方。
大山淳子の「猫弁シリーズ」を以前読んだが、この人も脚本からの転身なので文章は淡々としてるが読みやすい。
展開が理解しやすく飲み込みやすいのは利点かも知れない。
文章力、表現力の妙を芸術として鑑賞したい時には不向き。
失踪する旧友(世間的に見れば15年会っていない親友は旧友だが、本編では一貫して親友と書かれておりそこがこの話の重要ポイントでもある)のキャラクターがとてもいい。
猫背でどもりがあり、人と目線を合わせない黒猫のような印象の彼が、壇上では流暢に落語を聞かせて観客を魅了する。
テープで聞きこんで、真似ただけとのこと。
「学ぶは真似る」九十九が一男に教えた、ひとつめの出来事。
主人公の一男はこの九十九にいろんなことを教わるけど、社会生活がスムーズではない九十九にとって
「一男くんと僕が揃ってはじめて百になる。二人で百パーセントなんだ。」
zsfひうれwcx、いうえxcんsdふぉせうy(エモい)
この王道的な名前の作りも最高じゃないですか。
ちなみに他の登場人物にも分かりやすく全部数字が含まれています。
人を信じることの難しさ、大切なものは一体何か、誘惑や迷いはどこからくるのか、等々、読んでて考えさせられる、を目指してるんだと思う。
私としては自己を振り返るより、エンターテイメントとして読んでしまったけど。
考えるとしたら、少し薄い内容なんだと思う。
ひとつひとつのエピソード、キャラクターがあまりに完成されていてキャッチーなので、想像の余地がないというか。
見えない部分がもっと多くないと考えさせるに至らないんじゃないかなぁ。
私としては、人の信用を試す行為はすでに信じてないから出来ることでそれ自体が裏切りとみなしていいと思う。
信じてたから試したのにやっぱり引っかかった、っていうのは、相手の信頼を自らの不信感で最初に裏切ってることにならないわけ?
などと考えてしまったらこの話は面白くないです。
素直にエンターテイメントとして楽しむことをお勧めします。
九十九可愛い!
それと、ほんの少しのお金です。 チャップリン
6冊目 億男 川村元気
弟の借金を肩代わりしたことで妻と娘に別居され、死に物狂いで働いてたら3億円の宝くじが当たって、混乱したので大金持ちになった旧友に会いに行って相談したらその旧友が3億持って失踪した!
旧友を探す過程でお金とは何か、幸せとは何かを考えていく、という話。
これ自己啓発系の本だと思われそう。
というか私もそう思っていた。
まず思い浮かんだのはあの大ヒット童話「チーズはどこへ消えた?」でしょ。
でも違いましたね。
話の感じでいえば「色彩を持たない田崎つくると彼の巡礼の年」の方が近い。
構成が近いのもそうだし、名言の引用が多いのもそう。
川村元気は村上チルドレンなのかな。
他の作品を読んでいないけど、文章はとても読みやすい。
基本に忠実で、洒落をきかそうとして読者を混乱させることもなく、素直でいい。
工夫がなく稚拙とも言えるが、変に難しい表現をしてみたり使われない漢字を使って虚勢を張る小説気取りよりはずっといい。
脚本家が小説を書くとこうなる、という見本みたいな書き方。
大山淳子の「猫弁シリーズ」を以前読んだが、この人も脚本からの転身なので文章は淡々としてるが読みやすい。
展開が理解しやすく飲み込みやすいのは利点かも知れない。
文章力、表現力の妙を芸術として鑑賞したい時には不向き。
失踪する旧友(世間的に見れば15年会っていない親友は旧友だが、本編では一貫して親友と書かれておりそこがこの話の重要ポイントでもある)のキャラクターがとてもいい。
猫背でどもりがあり、人と目線を合わせない黒猫のような印象の彼が、壇上では流暢に落語を聞かせて観客を魅了する。
テープで聞きこんで、真似ただけとのこと。
「学ぶは真似る」九十九が一男に教えた、ひとつめの出来事。
主人公の一男はこの九十九にいろんなことを教わるけど、社会生活がスムーズではない九十九にとって
「一男くんと僕が揃ってはじめて百になる。二人で百パーセントなんだ。」
zsfひうれwcx、いうえxcんsdふぉせうy(エモい)
この王道的な名前の作りも最高じゃないですか。
ちなみに他の登場人物にも分かりやすく全部数字が含まれています。
人を信じることの難しさ、大切なものは一体何か、誘惑や迷いはどこからくるのか、等々、読んでて考えさせられる、を目指してるんだと思う。
私としては自己を振り返るより、エンターテイメントとして読んでしまったけど。
考えるとしたら、少し薄い内容なんだと思う。
ひとつひとつのエピソード、キャラクターがあまりに完成されていてキャッチーなので、想像の余地がないというか。
見えない部分がもっと多くないと考えさせるに至らないんじゃないかなぁ。
私としては、人の信用を試す行為はすでに信じてないから出来ることでそれ自体が裏切りとみなしていいと思う。
信じてたから試したのにやっぱり引っかかった、っていうのは、相手の信頼を自らの不信感で最初に裏切ってることにならないわけ?
などと考えてしまったらこの話は面白くないです。
素直にエンターテイメントとして楽しむことをお勧めします。
九十九可愛い!
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